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佐野まり はちどりの庭 Mari Sano Jardin Colibri

3rd Album CD 音楽の和 Amistad Musical (2008)

Amistad Musical 音楽の和
Mari Sano y Artistas Argentina

アルゼンチンのアーティストのコラボレーションで制作
アルゼンチン活動10周年、初滞在より30周年記念アルバム
2000年より録音開始、2008年に完成

Produccion General: Mari Sano
(realizado entre 2000- 2008) 
プロデュース・佐野まり

Letra y musica Mari Sano
Arreglos: Mari con la participacion de los artistas
作詞・曲 佐野まり 参加アーティストと共に編曲

Grabación レコーディング(順不同): Diego Rolon y Luis Volcoff (Churrasco Records) , Cesar Silva (estudio El Horneo) , Gabriel De Piero (Lomas Records) , Juan Sisterna (estudio La Naranja), Gaston Garcia, Juan Pablo, Ricardo Zardaño, Fernando Juarez, Marcelo Lupis, Florencia Ruiz, Carlos Mutis (Taller de Grabacion del Centro Cultural San Martín), Eiji Tani (Studio E-Star)

Mezcla y Mastering
ミックスダウン・マスタリング
Gaston Garcia y Mari Sano  
「風花」Flores y Viento por Luis Volcoff
「ほらごらん」Mira Vos por Eiji Tani  

Texto 日本語ライナーノーツ: Mari Sano (Japones)
Texto スペイン語ライナーノーツ: Fernando Del Rio (castellano)
Traducción de letra 歌詞スペイン語翻訳補助: Silvina Di Caudo

Diseño grafico アルバムデザイン
Mari Sano y Soledad Ventura (Replimedia)

Fotografía写真
Mari Sano (tapaアルバム表紙)
Martin Iturri (contratapaアルバムバック)


1. Felíz Bosque 幸せの森

8年前亡くなったインコの「空」、彼は羽根を切られていましたが常に飛びたがっていました。彼の羽根がのびるのを待っていたのですが、ある日おなかを壊してしまい、私の手の中で羽根を広げながら息絶えました。深い安らぎをくれた人生を共に歩んだ、多くの忘れられない彼等への追悼。

アルゼンチン音楽界は常に創造を通じて様々な共演の機会が溢れており、何らかの形で即、素晴らしい繋がりが広がっていきます。 

アルゼンチンの誇るベーシストWilly Gonzalez、革新的なフォルクローレの楽曲を制作、ベースを中心とする多くのアルバムを発表されているクリエイター。リズムを刻んでくれているのは Mr.Miguelius 彼は全てのリズムを自身の口で操るビートボックスの世界的な達人。最後にニューヨーク在住のクリエイターMarcelo Lupis が、素晴らしいバイオリンで全体のハーモニーを引き寄せ、全体の構成に一役。

ブエノスアイレスの多くのアーティストの友人の犬 Lilaと Laica、猫 Churasco、カナリア Mastrope、ジャケットに写真も掲載されている相棒インコのマリオも参加。ジャンル・種を超えた豊かな友情による制作。出会い、旅立ち、想い出との戯れ、永遠の絆の夢を彼等と共に紡ぎました。 

「あの日の空には散りばめた雲達が 終わりのない夢をのせて流れてゆく」

2. Dream Hero 夢英雄

残念ながら日本は自殺により他界される方が多い国。繊細な子供達にとって厳しい社会ですが、遠かれ早かれ何時かそれぞれ独自の価値観の中で悩みを乗り越え羽ばたける日まで。台湾に旅をした際に映画監督 Mak Tai Kit 氏が、幼い頃から闘い築いてきた日々を聞いて、中国の大地を走り抜ける孫悟空の心意気を。

メインの音色はペルー出身のブエノスアイレス在住ケーナ奏者Marco Villegas。彼は地下鉄での演奏中にスカウトされ、コンドルカンキのサポートメンバーとして、日本まで一気に飛びました。正に才能と努力で勝ち取った奇跡、夢英雄そのもの。

サンマルティン文化センターで行ったCarlos Mutis録音実習での音源を8年後、Diego RolonLuis Volcoffのスタジオ Churasco Record で復活させ、お二人の素晴らしいギター、ベースも加わって奇跡的に完成。

「あの日の朝の詩を、あの日の母の声を忘れないように夢を見ましょう..」

3. Camino sin voz 声なき道

2007年、コロンビアで舞台製作を終えた直後の疲労と、風邪で声を失った状態でベネズエラへ移動。長距離バスでの旅路は国境を越える複雑な道程で、人に尋ねることも、旅の間の食料を整えることも、声の出ない状態で意志の疎通に困りました。ただフト言葉がなくても表情やその他もろもろで伝えることができる・・言葉を超えた交流。世界の言語は様々ですが通じないと諦めるのではなく、伝えることに徹すれば誤解もなく交流の原点に戻ることができる。

アルゼンチンを代表する女性ケーナ奏者Nuria Martinezと共に制作。際立った創造的な音色や作曲、演奏で幅広く活動する彼女と8年という長い交流の年月を経て録音。彼女の父親が録音を行っている最中に入院、終了後に亡くなったこともあり、同じ父親を亡くした同士、音楽を通じて二人でアンデスの深い山々を旅しているような共演。

4. Memoria 記憶

2005年、60周年広島原爆追悼式典に訪れた際に会場で聞こえた亡くなった方の声、被爆者の声、広島だけでなく、今も世界の何処かで引き続き起こっている、戦争で失われる多くの犠牲者の声。

アルゼンチンの誇る若き天才、世界的ハーモニカ奏者Franco Lucianiと共に制作。誰もが息を呑み、常に歓声で沸き返る彼の演奏に初めて遭遇したのは2002年、プレコスキン新人予選。同じソリスト部門にサンタフェ州の代表で出場していた彼が優勝、その後は世界中のアーティストのアルバムに参加、休みなく自身のプロジェクトを育み、旅を続ける彼の活動には誰もが釘付け。

5年後の2007年、ベネズエラ公演でカラカスに滞在していた折、Franco Lucianiの新しいアルバムをサポートしていた名ギタリスト編曲家 Diego Rolon より、ピーターガブリエルの名曲 Dont give up にチャランゴでの参加を依頼され、丁度その頃、ベネズエラの映画監督が制作しているドキュメンタリー映画制作のサポートを行っていて、その映画のために作曲したメインテーマを同じスタジオでレコーディング。映画「広島のビジョン」のテーマ曲。
 
5. Remanso 平安

フォルクローレフェスティバルでお馴染みコスキンを訪れる度、その中心を流れるコスキンの川のほとりにあるRemanso に宿泊。川のせせらぎが聞こえ素晴らしい景色が広がる場所で、親友が亡くなった知らせを日本から受け取り、コスキン新人選抜出場中のため彼女の元に即向かうことができず、最後のメールに残された「会いたかった」の一言。翌日その場所にそびえる山 Pan de Azucal へ。優しい彼女を思い出しながら登った山の頂上で制作。

2005年、日本のファン小野寺信二さんを通じて出会ったシンガーソングライターFlorencia Ruizと制作。常に新しい創造に徹している激しく力強い芸術家の彼女と作る過程は刺激的で、制作されたものに特別な輝きが加わる流れ。素晴らしい彼女の歌声と共にチャランゴの音色で、大きく豊かな海の中で泳ぐ人魚と魚達のような景色を模索。

6. Flores y Viento 風花

長く日本を離れていて、いつも桜を想う日々。以前暮らしていた最寄りの多摩川沿いに桜並木が続いていて、春の終わりに風に吹かれ舞い散る花びらの雨の中を歩いた、目を閉じると花吹雪に包まれている..

パーカッショニストJuan Carlos Maras に依頼「この曲は僕よりも彼に最適」と紹介を受けたのがFacundo Guevara。音色の一つ一つが特別な響きを持っていて、日本で共演した渡辺亮さんと通ずるものが。音色と音色に潜む「間」や「息づかい」の魅力。ほぼ全てのアルゼンチン大御所アーティストからの依頼殺到で忙しい彼が「この曲は絶対録音しよう」と時間を割いてくれました。

ところがスタジオのミスで録音状態が悪く、チャランゴの音を取り直さなくてはいけない状況。絶妙の間を重ねるために同時録音したものを再び演奏するのは難しく、何度も修正を試みては断念、完成まで8年、最期Diego Rolon の台所で根気よく、多くの時間を思う存分使用する形で録音、最期に二人の音色を良く知るLuis Volcof がミックスダウン。

7. Ilusión de los opuestos 陶の里
11. Por la mañana circular 巡る朝日

憧れの偉大なパーカッショニスト、Horacio Lopez氏と共に制作。15年という年月を経て再度アルゼンチンの地を踏んだ1998年、間近なスペースで現地の演奏を体感する機会を探して飛び込んだライブハウス Oliverio Always で見たトリオAlfombra Magica の演奏、そのトリオでパーカッションを演奏していたのがHoracio Lopez氏。何より発するエネルギーに釘付け。4つの方向に向かうエネルギーを模索する哲学的な奏法。

メインの楽器はオカリナ。1作目の「1番後ろから」を制作した際に参加頂いた白井進さんの製作によるバランス式オカリナを使用。元々ソプラノリコーダー奏者を夢見たことから、管楽器の自身の息を吹き込む中での表現が心地よく、魂がすっと入っていき、音色が心と共鳴。

故郷・瀬戸市の陶芸家の手ほどきで陶芸を体験することができ、土をこね、形を整え、釜にいれる・・静かな集中の時を経て生まれる作品。そんな過程と背景をオカリナとパーカッションで辿る流れ・・

アルバムのボーナストラックとなった最後の曲は、全くの即興でHoracio Lopez氏と二人で電話ボックスほどの狭い空間にマイクを1本置いて、多くのパーカッションを持ち込み、思いつくまま音を重ねていったのですが、思わぬアイディアが生まれ、偶然の面白さが楽しくて、ついつい「もう1回」とせがんでしまい、「まだやるの?」というやりとりは、このアルバムを完成させるための決まり文句、思い出の一言を敢えてピックアップ。

8. Marcha Callejera 通りの人へ

忘れられない幼い頃の記憶、車を降りると走ってきた子供が手をさしのべ、車を下りようとした子供は、小銭をもらおうとした子供の手を握り握手。ポカンとした二人、言葉を失った両親。その後、子供達はサッカーボールを一緒に蹴って楽しく遊ぶことができ、ある日家に遊びに来た子供は帰り際「生まれた時から違う」とつぶやいた実話は、2枚目のアルバムの「パルケラティーノ」 南米に暮らしていると多くの働く子供達に遭遇、貧富の差、彼らをとりまく環境の差はあまりに激しく、食べるために必死な子供達は、明日を夢見るどころか生きのびる事に必死。親を選ぶことはできない、日々想う恵まれた家に生まれることが最高の幸運であったこと。

アルゼンチンで地方のフェスティバルに参加するようになって、多くの名もなき地元の音楽家と遭遇。多くの出場者は出場以前に行くための費用を必要としていて、予選で優勝すれば代表としてバスにのることができる、宿泊施設を持てる、そのための出場。一緒に移動する中で様々な話を聞いて、彼等の音や歌声に溢れる底力の背景を知り、目の当たりにする「フォルクローレ」の真髄。

舞台裏で親しくなったフォルクローレグループWayra Tuta と制作。ラプラタ地区のインストゥルメンタルグループ代表。孤独なソロ奏者部門は遭遇する度、仲間に入れて頂いてアルゼンチンの習慣であるマテ茶、焼肉アサード等の集いを重ね、マルデ家族のように過ごし、集まるたび食後の即興での演奏会。その集いを制作現場に変え、誰にも与えられる基本的な平等を願って、シャボン玉のように割れては飛ばし、割れては飛ばし、空高くあがっていく願い。

「変わりのない街に いつの日にか夢よ 手のひらから 溢れるほどに 通りの人へ」

9. Mira Vos ほらごらん

「ミラボス」この言葉を電話口で盛んに口にするアルゼンチンの人気ケルトグループ Xeito Novo のギタリスト Tony Izurra に紹介されたラジオ局のアナウンサーRamón Suarez の番組に出演した後、街のケルトバーへ連れていかれ彼の娘達のバンドAxouxeres と即興で共演。独特の儀式や舞踊、音楽、全てが新鮮でAxouxeres とオリジナル曲を制作、フォルクローレフェスティバルで審査員特別賞、ガリシア音楽とフォルクローレの融合という新鮮な機会を重ね、最初のオリジナル制作「ほらごらん」 

ジャンベは丁度同じ時期にスタジオで別の曲を共に制作していたFacundo Guevara。2作目「パルケラティーノ」のレコーディングエンジニア谷英二さんと日本でミックスダウン。その際にベースを追加録音。

「ほらほら みてごらん 君の想う 北の場所に 昨日より もっと花が踊る」

10. Luna Llena 満月

満月を見上げる度、今は亡き人々を思い交信。メキシコには「死者の日」という祭典があり、日本のお盆のように亡き人を向かえるため毎年全力で準備、様々な催しが墓地で行われ、家庭には個性的な祭壇が設置。亡き人は実は亡き人ではなく、実は常に傍にいる。ふと見上げるとそこに満月があるように・・

名バイオリン奏者Sami Abadiと共に制作。クリエィティブで幻想的なバイオリンはループ機材を駆使してリアルタイムで何十にも重ね、月の光が真っ直ぐに伸びていくような背景を。エンディングでは東洋的な旋律のソロ。

「誰でもの上に昇る 月は同じ顔で 振り返れば あの頃と同じ 君がいる」

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10年に渡る様々な時期と場所に渡る録音を一つのアルバムにまとめることができたのは、エンジニアGaston Garcia のミックスダウンとマスタリングによるもの。彼と共に実に半年に渡り、じっくり制作。全ての要望に敬意をもって耳を傾けてくれただけでなく、長年学んできた経験と知識に基づいて多くの挑戦、素晴らしい人柄の彼と、サポートしてくれた奥様Merceに感謝します。

長年継続してきた公演プロジェクトのタイトル「音楽の和」 制作を通じて本当に多くの共演の機会を得ることができました。 音楽家だけではなく、長年公演の司会を務めてくれた友人Fernando Del Rio がアルバムの解説を担当。皆さんとの全ての出会いと信頼に感謝します。そんな多くの物語と、願い全てを含めた波動が波紋となって伝わっていく、トータルな作品を未来の子供達へ。 このアルバムの収入がそのために使用されることを夢見ています。

あらためて過ごしたアルゼンチンでの10年は、1978年に初めて家族で訪れた際の音楽的な日々が土台、当時は軍事政権化にあり複雑な事情もあり、その背景も含めて15年後に再び訪れた1998年が「本当の始まり」でした。 

当時の記憶と現在の繋がりを創作によって模索、支えてくれた暖かい友人、付き添ってくれた素晴らしいアーティスト、多くのことを教えてくださった巨匠の皆様に感謝します。 そして個人的ではありますが、ここに至る全てのキッカケと道程をくれた父と母へ、「青空工房」を通じて音楽を信じてくれた今は亡き松田ヒロヒトさんへ、今後も活動の中で常に「和」を探して交流と創造の旅を続けていくことを御約束します。

チャランゴはハチドリの羽ばたき、世界中を自由に飛びまわり星にむかって飛ぶ  

佐野まり


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アルバムは2008年、アルゼンチンのレコード大賞・ガルデル音楽賞に正式参加。

Pagina 12 Fernando D'Dario
・ローカルアーティストとしての地位を築き、新鮮な新しい音が完成

Pagina 12 Facundo Garcia
ブエノスアイレスを代表する音楽家と作品を制作、楽譜は自然が撮影された写真家の本
新しい音楽と長い旅 日本人チャランゴ奏者の個性的な挑戦

Radio ETER Cosas Tuyas
特別ロングインタビュー 旅は始まったばかり


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